年金

過去の退職給付会計の基準変更について

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退職給付会計は、退職給付の性格を賃金の後払いと捉えて、当期までに発生した(とみなされる)将来の退職給付の現価相当額を「退職給付債務」として認識する。1998(平成10)年6月の企業会計審議会意見書に基づき、わが国の企業会計基準の1つとして、2000(平成12)年4月(一部企業では2001《平成13》年4月)以降に始まる会計年度から、退職給付に係る新会計基準が導入されていた。

新しい退職給付会計の導入により、企業年金を含めた退職給付制度は母体企業の財務に大きな影響を与えることとなった。企業年金の設計と運営が明示的に企業の重要な経営戦略の1つとなるとともに、企業年金への社会の関心が一層高まり、それが企業年金の改革を促していくこととなった。

退職給付会計では、厚生年金基金の代行部分に関して、企業独自の給付と同じ方法で退職給付債務や退職給付費用等を認識することとされた。この会計処理は、代行部分に係る厚生年金基金の債務を最低責任準備金とする代行制度の仕組み(厚生年金本体と厚生年金基金の関係)に基づく内容となっていない。

企業年金の仕組みを左右するわけではない

退職給付会計の導入を契機として企業年金の給付は賃金の後払いとの見方が一般化していけば、受給権付与などの企業年金の基本的な枠組みが影響を受けていくこととなろう。ただし、退職給付会計の内容は、企業年金を含めた退職給付の仕組みに基づいて定められるべきものであり、企業会計の内容が企業年金の仕組みを左右するわけではない。

退職給付制度のうち企業年金に関しては、退職給付債務に対する積立不足を「退職給付引当金」として母体企業のバランスシート(負債)にオンバランスする。同時に、当期の発生に属する部分は、退職給付費用として損益計算に反映させる。退職給付会計における代行部分の取扱いは、確定給付企業年金法による給付建て企業年金の再編後において、企業の企業年金制度の選択を歪めるものとなっており、早急に見直す必要があると考えられる。

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