年金

社会保険庁がもつ保険料滞納者への資産差し押さえの権限

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ある専門家は語る。社会保険庁がもつ保険料滞納者への資産差し押さえの権限は、10年以上も前に5件ほど試されただけで、それ以降、その権限は行使されていないという状況は、妙に納得がいく。適切なインセンテイブ・スキームが設けられずに、崇高な目的だけが人道的な視点から掲げられても、よほど奇特な人物に恵まれでもしないかぎり、その目的は達成されないものである。

はたして、社会保険庁は、なにゆえに、収納率を引き上げようとするのであろうか、どうにも理解できない。たとえば、保険料を徴収する者の給与を、収納率と連動する出来高払いにすれば、収納率をあげることはできるだろうと思える。しかしながら、そうした給与政策ーしかも、人のいやがる方向への改革ーを実行するインセンティブが、保険料徴収に現場で携る者の上司にみいだせないしその上司にもみいだせない。

社会保険庁が収納率を引き上げるのに要するコストを積極的に引き受けさせるスキーム・仕掛けを目にできないかぎり、社会保険庁が、真剣に収納率のアップに尽力していると信じることはできないし、収納率が低下しつづけている原因を突き止めようと真剣にとりかかっているとも思えない。

前向きに取り組むインセンティブ・スキーム

大切なことは、われわれ第三者がああしろこうしろと外から細かいことを言わなくとも、彼らがそうすることが望ましいと思える適切なインセンティブ・スキームを整備することである。こうした状況にあって、もし、保険料の未納額を埋める形で国庫負担を行うようにすれば、社会保険庁と財務省との間に、毎年度毎年度、緊張が生まれる。この緊張感を適切な制度的枠組みのなかに位置付けさえすれば、社会保険庁が収納作業に前向きに取り組むインセンティブ・スキーム、すなわち制度ができるように思える。

国民年金の保険料を支払わなければ自動車免許証を更新しないとか医療保険証を交付しないなど、国民年金と他の政府サービスとの抱き合わせ販売を実現するために要する政治的な交渉コストを、社会保険庁が積極的に負担するはずもないと、ある専門家は語った。

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