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思考の麻痺した私たちは

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大抵の人々がシャツ一枚に迷わず払う二五ドルだって、大方のアパレル工場労働者にとっては、何カ月も貯金しなければならない額だ。マンハッタンのミートパッキング・ディストリクトにあるロータスという気取ったナイト・スポットでは、コスモポリタンというカクテルがおよそ一一ドルする。

思考の麻痺した私たちは、スウェットショップの勤労者を思いやれなくなっている。彼らの現実を卑近な例に照らしてみれば、やっと、その不当さが垣間見えてくる。〈超〉が付くほど乏しい稼ぎでは、住環境についても知恵を絞らねばならず、労働者はしばしば小さなアパートに集団で身を寄せることになる。まともな食事というだけでご馳走になる。上等な食べ物に手が出ないのはもちろんのこと、ローが体験したようなミシン係の場合には、昼食抜きでわき目もふらずに仕事を続けることも少なくない。

スウェットショップというテーマは、ファッションというセクシーな世界にあってセクシーさのかけらもない話題。ファッション・ヴィクティムは、一見して服の製造過程に関心を抱くようなことはない。ただ、比較的安くて(先にも書いたけれど、この「安い」というのは完全に主観的な言葉だ)豊富に出回っている最新の服ーさすがに、一度着たらダメになるのでは困るけどーであればいいのだ。

消費者がよく口にするのは

スウェットショップについて消費者がよく口にするのは、「発展途上国に工場を作ってあげることで、そういう国々は助かってるんじゃないの?」という台詞だ。結局は二三セント(中国のスウェットショップ労働者の平均時給)しか稼げない中国のお針子だって無収入よりはましだろうと思い、エル・サルバドルのミシン係の時給が五九セントだと聞かされても、それだけ日々の支出も少ないのだろうと思ってしまう。

私たちが心ない人間であるということではなく、勤労というヴェールがかかっているために判断が鈍っているということである。だから、悲惨な労働も彼ら自身の助けになっているのだと思い込もうとする。

だが、エル・サルバドルの場合、生活賃金ー差し迫ったニーズ(食住や子どもの養育費)を満たし、長期的な購入計画や緊急時に備えて多少の貯金をし、少しは自由に使って地元経済に還元する、そのために必要な額ーは時給一・一八ドルである。

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