ファッション

労働者の劣悪な環境

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工場側は、自宅労働者を雇うことーアメリカでは違法とする州もあるーで、監督者の厳しい目を逃れることも多い。ジョバーが女性たちに裁断した生地の束を渡して、家で縫わせるのだ。こうすれば、家賃、電気代、業務用ミシン(五〇〇ドルから三〇〇〇ドルもする)などといった仕事の経費については、労働者が自腹を切ることになる。それでも、ある人々、特に働く母親にとっては理想的な環境に見えるかもしれない。

部外者には簡単に見極められないかもしれないが、日常的な身体検査、言葉の暴力や肉体的な虐待、セクハラ、妊娠テストなどといった不倫快な行為は世界中で報告されているし、なかには中絶を命じられた女性労働者までいる。一九七〇年代後期に出た『アジアの女性労働者』という報告書によれば、しばしば錠剤型の覚醒剤やアンフェタミン注射で女性たちを眠らせずに働かせていた工場経営者もおり、そのため依存症になる人も出たという。

子どもと一緒に家にいながら仕事ができるわけだから。だが、自宅労働者の場合、工場で働くより稼ぎが少ないし、賃金が受け取りにくいという難点がある。あるハイチ移民は、完成品一〇〇〇着を持参したところ、ボスにこう言われたという。「二〇〇〇着分渡したはずだぞ!」。足りない分を彼女が仕上げるまで、ボスは支払を拒否したそうだ。

節操のないアメリカの工場主は

また、節操のないアメリカの工場主は、「小切手を購入させる」という方法で、賃金支払違反行為の抜け道を作っている。労働者は、小切手を受け取る際に、上司に現金を払わなければならないのだ。こうすれば、額面上は、連邦政府が定めた最低賃金を稼いでいることになる。

自宅労働の場合、大量の生産ノルマを与えられ、休みなく長時間働くことになりがちである。なかには労働者への支払が帳簿につけられない場合もあるので、脱税も起こりやすい。ちなみに、自宅労働者の使用はカリフォルニアでは違法なのだが、一九九六年にこの州の南部で一斉摘発が行われた際には、ゲス製品を作っていた労働者たちの自宅兼作業場が見つかっている。

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