ファッション

リーバイスの工場の閉鎖

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レイオフされた労働者たちは、互いの話に耳を傾けながら、元雇用主に対して行動を起こそうと計画を練った。マタとビオラ・カサレスが共同でコーディネーターを務めるこの団体には、初年度にして七〇〇人の会員が集まった。そして、労働権利問題に強い著名弁護士の協力を得た彼らは、一九九〇年四月にリーバイスを相手取った一一六億ドルの集団訴訟を起こし、リーバイス製品をボイコットするよう全国に呼びかけたのである。

工場閉鎖の発表から六ヵ月経っても、まだ就職口の見つからない人が大半だった。その一部が、一九九〇年二月二二日に〈フェルサ・ウニダ〉、すなわち「ユナイテッド・フォース」なる草の根組織を結成し、毎週サン・アントニオの〈天使の聖母マリア教会〉で会合を開くようになった。

訴えは棄却され、上訴した労働者たちは一審でも負けてしまった。「向こうには腕利きの大弁護団がついてたからね」とマタ。「大金を注ぎ込んでたのよ。そのうち、こっちにはうまくいくはずない。大企業相手に戦う資金なんかないんだから、ってムードが漂い始めたの」。それでも、フエルサ・ウニダは諦めなかった。

医療給付ももらえない労働者が大勢いる

マタは肝臓癌や卵巣癌の例にも触れ、工場内で大量の繊維を吸い込んだり、化学薬品にさらされたりしたことが原因かもしれないと訴えた。もっとも、そうした言い分については、事実かどうかまだ証明されてはいないのだが。主な訴因のひとつは、リーパイスのせいで毛根管症候群や椎間板ヘルニア、難聴、眼病などの職業病になったのに、解雇されたために医療給付ももらえない労働者が大勢いるというものだった。

リーダーたちは、リーバイスの重役と会合を重ねてもっと公正な退職条件を引き出そうとしたのだ。しかし、なかなか思い通りにはいかなかった。一九九七年一月三日、リーバイスは、ほかにもアメリカ国内の一一の工場を閉鎖すると発表した。会社側は、七年前のサン・アントニオでの失策に懲りたようで、今回新たに解雇通告を与えた労働者には、三週間分の給与掛ける勤続年数という退職金に、解雇までの猫予期間八カ月、医療給付最大一八カ月、訓練・教育・引越費用最高六〇〇〇ドルという条件を提示したのだった。

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