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ニューヨークのアパレルブランド工場は

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休憩も取らず(お腹が鳴り、背中痛くなっても)働いたのに、初日に仕上げられたのはたったの五三枚。一日八時間働いても三・七一ドルか稼げなかった。ニューヨークでは、ホットドッグとソーダが買えるか買えないかという小銭である。ロようにそれほど遠い存在ではない人の体験記を聞けば、スウェットショップ労働に対する見方もかなり変わってくるはずだ。初日に、報酬はシャツ一枚につき七セントの歩合制だと説明を受け、早速計算してみた。一分に一枚のペースで仕上げたら、一時間で一・一〇ドル、八時間労働なら一日一六・八ドルになる。当時のアメリカの最低賃金より、時給にして三・〇五ドル安い金額だ。だが、彼女は仕事を甘く見ていた。

一九九五年、『デイトラインNBC』のプロデューサーであるミニー・ローは、ニューヨークのアパレル工場の世界を八カ月かけて取材した。クイーンズのジャマイカ・アヴェニューにあるスウェットショップに潜入し、スウェットシャツ作りを体験したのである。彼女は、狭苦しい部屋で、ほかのミシン係一O人とともにシャツの袖付けに勤しむことになった。西洋のほとんどの産業においては、恵まれた労働条件が当たり前のように思われている。

私たちは仕事のことで愚痴をこぼす

私たちは仕事のことで愚痴をこぼす。やれ昇進ポストがないとか、手当が少ないとか、ストレスが溜まるとか。新品のコンピュータがフリーズしたと言ってはぼやき、虫歯の治療に保険が効かないと言っては不機嫌になる。お金の使い方も生活水準も、その辺のニューヨーカーと変わらない人間の体験なのだから。

ミャンマーの四セントよりもニューヨークの三・七一ドルのほうが余計にショッキングなのは、私たちのほとんどがミャンマーの生活水準についてひどく無知だからだ。ローの話を聞けば、比べてみようという気にもなる。私の場合、大学一年の時にしていた本屋のバイトの時給が五・五〇ドルだった。当時の一時間で、ローの一日八時間分より多く稼いでいたわけである。

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