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恋のワクチンは世の中にあふれ出ている愛の歌

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恋ワクチンとは、世の中にあふれ出ている恋愛ドラマ、愛の歌である。彼女らはこれらを通して擬似恋愛体験をする。つまり、それが恋ワクチンなのだ。ワクチンを体内に注入したために、自分はもう、恋を体験したかのような錯覚に陥っているのだ。ワクチンが良いのか悪いのか。もっとも、ワクチンも有効率は、九割程度だそうで、ワクチンを打っても、かかる人もいるのだそうだ。こういう人は、ワクチンの打ち損になる。

恥をかいたり、激情を注ぎこむ恋愛を避けている。ーというか、そのような、全身全霊を傾ける恋ができなくなってしまっているのではないか。彼女たちは、おとなしく、こちんまりとし、妙に大人びている。これが、恋ワクチンのせいのように思える。

小児科医の毛利先生は、幼児のうちに本物にかかることをすすめている。小さいうちに本物にかかっても死ぬことはない。もちろん恋も、本物をすませた方がいい。言葉にしなくても愛は伝わるはずは思い上がりというものです。

本当に好きなのかどうかわからなくなる

おまえたちが好きだと、家族にむかって言葉を投げかけるおとうさんが、言葉に出さなくてもわかるだろうというのが日本の昔からの慣習である。本当に好きなのかどうかわからなくなってしまうのが人間というものだという。

子供たちは何度も何度も母親に聞き返す。そして、もちろん、大好きよと言われると安心する。やっぱり、人間は、言葉で確認する部分が大きさ、そして、好きだのあとに、頬を染めた照れた表情。

20代までは、好意を持つ異性に対して、好きと告げることは、清水の舞台から飛び下りることである。それは真ッ裸で立ち尽くすのと同じくらい、無防備で不安で恥ずかしい瞬間であろう。ところが人間は、年をとるに従い、どんどん図々しくなり、図太くなり、ふてぶてしくなり、好きということに赤面することすらなくなってしまう。好きという、ストレートな感情すら失いがちになるものだ。

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