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貸付残高証明責任

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訴訟においては、当初貸付残高がないことを原告(債務者)が証明しなければならないのか、それとも逆に当初貸付残高が存在していることを被告(貸金業者)が証明しなければならないのか、という点が問題となります。不当利得返還請求権の要件とされる「法律上の原因」の証明責任を、原告、被告のどちらに負担させるかに関係してきます。

物事の証明で事実が存在している、あるいは存在していたことの証明は不可能ではありません。しかし、物事が存在しないことの証明は、「悪魔の証明」といわれ、ほとんど不可能です。想定しうるあらゆる事象を取り上げて一切の「法律上の原因がないこと」の主張・立証を求めることは、原告に不可能を強いるに等しいことです。

残高無視計算による過払金返還請求は、原告が主張する取引履歴の限度(範囲)において、不当利得返還請求権に基づく過払金が発生しているとの考え方に基づいています。もちろん、当初貸付残高が実際にいくらであったかによって、真実の過払金額は変動します。

原告側に法律上の原因のないことの証明責任を負わせるとする考え方も有力です。しかし、仮にこのような立場に立っても、原告が当初貸付残高が存在していたこと、あるいは存在していなかったことを主張・立証する必要はありません。

当初貸付残高がいくらであったか

当初貸付残高がいくらであったかを具体的に確定しなくても、訴訟上、法的に過払金返還請求権と過払金額を確定することはできます。それは、当初貸付残高の主張・証明責任が被告にあると考えるからです。そこで、利得が法律上の原因に基づいていることについて、被告に主張・証明責任を負わせることになるのです。

被告が、具体的な貸付残高と、その貸付残高に至る取引履歴を主張・立証しない限り、裁判上、原告の主張する残高無視計算の結果を否定できないことになります。

貸金業規制法19条は、貸金業者と債務者の将来の紛争を未然に防止する趣旨で、貸金業者に取引履歴を記録させることを義務づけています。したがって、当初貸付残高の証明責任を賃金業者が負うことになっても、貸金業者に酷な責任を負わせるものではありません。

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