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表現されなかった愛

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形になるものばかりが愛ではない。生後間もなく生き別れになった我が子に対してずっと思いをかける時、その母に愛が存在するように。つまり、実際に行動として愛を示してはいなくても、愛は、存在するということである。

女友達は、結局、抜け作と恋人同士としてのデートは一回もしなかったし、ましてや寝ることもなかった。しかし、この二者の間には、愛は確実に存在した。自分の恋人(つまり、心を許した人間)に、ある特定の人のことばかりしゃべるとしたら、話す人間は、そのある特定の人に愛情を抱いているということだ。

表現されなかった愛。これはどうやら、友達同士としての男女間に多く隠されているような気がする。子供時分からのクサレ縁は別にして、年頃になって以降知り合った男女の人間関係は、すべて性愛が基調になっていると、最近読んだ社会学の本に書いてあった。用事のために男女が会う限り、この二者にそれ以上の関係の進展はない。

用事もなく男女が話す時

お茶マニアの探究会でもない限り、お茶を飲む、ということは目的ではない。用事もなく男女が話す時、その目的は、ただひとつ。あなたのことをもっと知りたいなのである。話すべき用事がないのだから、お互い、自分のことを話すしかない。そこで、私的人間関係が生まれるという次第。
これが、その社会学の本に書いてあったことの要約である。この説を進めると、年頃になって知り合った異性と、お茶を飲む間柄になったら、それはすべて恋愛関係を内包しているといってよいことになる。

たとえば、会社の同僚との打ち合わせ。取り引き先相手との交渉。用事があって、そのために会う場合、用事の話をすれば、それでおシマイである。つまり公的人間としての接触でしかない。ところが、男が女に、お茶を飲みませんかと誘った場合、そこに、用事が介在しない。一緒にお茶を飲む男友達とは、すべて、恋人予備軍と考えてよいのだろう。

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